原典講読『天界と地獄』575番の中に誤訳がありましたので訂正いたします。
その直訳の個所は
Illi quia nihil lucis e caelo possunt recipere, et inde nihil videre intus in se, ideo plerique sensuales corporei sunt, qui sunt qui nihil credunt quam quod oculis vident et manibus tangunt: 彼らは、天界からの光の無を受け入れることができるので、そしてここから自分自身の中の内部に無を見ること〔ができる〕、それゆえ、大部分の者は身体の感覚による認識力☆〔の持ち主〕である、その者らは目で見て、手で触れるもの以外に何も(決して)信じない者らである。
☆ 中性名詞sensualeは「感覚による認識力」です。もっと短く表現したいのですが、うまい言葉はないでしょうか? 「感覚力」という言葉は存在しないし、造語としても変ですね? ここはそのような性質をもつ者たちです。
ここの丁寧にも注釈をつけて中性名詞としたsensuale「感覚による認識力」です(それで〔の持ち主〕というような補いまでしています)。正しくは形容詞sensualis「感覚的な」です。形としては名詞も形容詞も考えられますが、形容詞で意味が通じるなら、わざわざ「~の持ち主」などとしないほうがよいとしたものです。
それで訳文は次のものとなります。
彼らは、天界からの光の何ら受け入れることができず、ここから自分自身の内部に何も見ることができないので、それゆえ、その大部分は、目で見て、手で触れるもの以外に何も信じない、という身体からの感覚的な者である。
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なぜ、今頃になって誤訳発見なのか? に答えます。
現在、『レキシコン』最後の項目「S」に取り組んでいます。10月いっぱいには終える予定です。この8月後半は、いろいろなことから全然手がつかず、9月に入って気持ちも新たに取り組みを再開しました。順不同で翻訳しているのですが、ここで単語sensualisの用例にこの個所が取り上げられていたからです。今日はこの単語とsensus「感覚、意味」などを訳しました。