苦菜 amaror

「ラテン語レキシコン」にamabilis(愛らしい)~anatomicus(解剖学の;解剖学者)追加掲載しました。
今回の追加分には、amarus(アマールス)という言葉が含まれています。「苦い」という意味の形容詞です。日本語で「苦い」の反対の意味は、「甘い」ですから、憶えやすいですね。
これに関連するamaror(アマーロル)は「苦菜」です。イスラエル民族がエジプトから出て、カナンへと旅立つ前に行なわれた過越しの祭りで、彼らは子羊の肉とパン種の入っていないパンとともに「苦菜」を食べるように命じられました。
そのことが記された出エジプト記12:8のラテン語訳は次のとおりです―
Et comedent carnem in nocte illa assam igne, et azyma super amaroribus comedent illam.
「苦いもの」「苦菜」はカナン(つまり天界)への旅路にともなう試練における不快なことを意味しています(『天界の秘義』7854)。
ユダヤ教の過越しの祭りは、キリスト教では「聖餐式」に代わりました。どちらも旅立ちへの決意を新たにするための儀式です。
しかし、それは単に人生の「苦さ」への悲壮な覚悟をせまるものというだけではないように思います。
聖餐や過越の儀式には何かを「食べる comedo」という行為が含まれています。それは肉体に栄養を与え、エネルギーを補給する行為であると同時に、味覚を楽しむという一面も大いに含まれています。「苦さ」はある種のスパイスにもなり得ます。
肉体に食物が必要であるように、心にふさわしい食物も必要です。私たちは与えられたさまざまな経験を通して、精神的・霊的に養われ、生長すると同時に、そこには苦しみだけではなく、喜びもともなうということが示唆されているようです。

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