原典講読『結婚愛』521(訳文)

(3)訳文

521.これらに、このメモラビリアが加えられる――

私に目が開かれ、私は暗い森を、またそこにサテュロス☆1の群れを見た。

サテュロスは、胸に関して毛むくじゃら、また足に関してある者は子牛のよう、ある者はヒョウ、ある者はオオカミ、そして足底の中に指の代わりに野獣のような爪であった。

これらの者が、「女(たち)はどこにいる?」と叫んで、野獣のように駆け回った。

またその時、彼らを待っていた娼婦たちが見られた――それらもまたいろいろな怪物であった。

サテュロス(たち)は走り寄り、彼女たちをつかまえ、森の真ん中に、地の下に深くもあった洞穴の中へ引き下ろした。洞穴のまわりの地上にらせん形の中に屈曲〔して〕大きなヘビが横たわっていて、洞穴の中に毒を吹き込んだ。ヘビの上方の森の枝の中に、死を招く夜の鳥がガーガー鳴き、叫んでいた。

しかし、サテュロスと娼婦たちはこれらを見なかった、彼らの好色に対応するものであったからである、またいつもこのように外観が遠方から〔見られる〕。

[2] その後、洞穴から出て、ある低い小屋の中に入った、それは売春宿であった。またその時、娼婦たちから引き離され、自分たちの間で話した、それへ私は耳を向けた。というのは、話しは霊界の中で、そこに空間の広がりは単なる外観であるので、遠く離れた〔ところ〕からでも、居合わせるかのように聞かれることができるからである。

彼らは結婚について、自然について、宗教について話した。

「結婚」について、足に関して子牛のように見られた者が話した。また言った、「結婚は許された姦淫でないなら何か? 淫行の偽善、そして夫たちを欺くこと以上に何が心地よいか?」。

これらに、他の者たちは高笑いして、拍手喝采した。

「自然」について、足に関してヒョウのように見られたサテュロス(たち)が話した。また言った、「自然以外に他の何があるのか? 人間が明晰な発音で、また獣が音声で話すことができること以外に,人間と獣の間に何の違いがあるのか? 両方とも自然の働きで、熱からのいのちが、そして光から理解力がないか?」

これらに、他の者たちは叫んだ、「ああ、あなたがたは思慮分別から話している」。

「宗教」について、足に関してオオカミのように見られた者が話した。言って、「自然の最内部の働きでないなら、何が神または神性か? 大衆を捕え、また縛るための作り事でないなら、何が宗教か?」

これらに、他の者たちは叫んだ、「ブラボー(いいぞ)」。

[3] ほんの短い時間の後、彼らは勢いよく出てきた。はじけるように出て来て、彼らに向けて目で集中させて眺めている私を遠方から見た。そのことから怒って森から走り出て、脅迫的な顔つきで私に向かって走り急いだ。

彼らは言った、「なぜ、ここにあなたは立っているのか、〔なぜ〕あなたは私たちのひそひそ話しに留意する〔のか〕?」

私は答えた、「なぜ、〔してはいけ〕ないのか? 何が禁じられるのか? 話であった」。また、私は、彼らから聞いたものを話した。

このことから彼らのアニムス(心)は座らされた、それは〔自分たちの話しが〕漏らされないように〔との〕恐れからであった。またその時、謙虚に話し、礼儀正しく振る舞うこと始めた。そのことから私は、卑しい庶民からでなく、さらに高貴な家系から者であったことを認めた。

またその時、私は彼らに、私が森の中の彼らを数で三十人のサテュロスとして、二十人を子牛のサテュロスとして、六人をヒョウのサテュロスとして、また四人をオオカミのサテュロスとして見たことを語った。

[4] 彼らはこのことに驚いた、自分自身そのものがそこに人間としてでしか、同様に、私のもとにここに自分自身を見たようにしか見なかったからである。

私は、遠方からは淫行の情欲からそのように見えること、また人物の形でないサテュロスのこの形は放埓な姦淫の形であったことを教えた。私はこの理由を言った、それぞれの悪の欲望は、ある形の中に自分の似ているものを見せる、それは自分自身から眺められない、しかし、隔たって立っている者から〔眺められる〕。また、私は言った、「あなたがたが信じるために、あなたがたからある者をその森の中に送り出し、そしてあなたがたはここにとどまれり、観察しなさい」。

そして、そのように行なわれ、二人を送り出した、その売春宿の小屋の近くに、まったくサテュロスのような彼らを見た。また戻ったとき、そのサテュロスに挨拶し、また言った、「おお、何たる笑いもの」。

笑いの中にいたとき、私は彼らにいろいろな冗談を言い、また私は、私が姦淫者をブタとしてもまた見たことを語った。またその時、私はオデュッセイアとキルケー☆2についての寓話を思い出した、このオデュッセイアの仲間と召使いはヘカテー☆3の草〔=魔女の薬草〕を振りかけ、魔法の棒で触れ、ブタに変えた。おそらく、姦淫者に〔変えたのであろう〕、どんな技巧でも、ある者をブタに変えることはできなかったからである。

これらや同様のものに高笑いを解いた(=終えた)後に、私は、〔彼らが〕世の中のどの王国の出身であったか質問した。

彼らは、いろいろな国から〔であった〕ことを言った、また、イタリア、ポーランド、ドイツ、イギリス,スウェーデンの名前を挙げた。

また私は、自分たちの間にオランダからの者を見たか質問した。

また、その者を見ない、言った。

[5] この後、私は話題をまじめなものに変え、これまでに姦淫が罪であることを考えたかどうか質問した。

答えた、「罪とは何か? 私たちはこれが何か知らない」。

私は、かつて、姦淫が十戒の第六の戒めに反することを憶えなかったのか質問した。

答えた、「十戒とは何か? 教理問答書なのか? 私たちおとなにその子どもじみた小著と何があるというのか?」

私は、これまでに地獄について何か考えたかどうか質問した。

答えた、「だれがここから上ったか、また語ったか?」

私は、死後の生活について世で何か考えたかどうか質問した。

彼らは言った、「獣のいのちと同様のもの〔と考えた〕、また時々は、幽霊のいのちと同様のもの〔と考えた〕、それはもし死体から発散されるなら、消滅する」。

さらに私は、これらやそれらについて何らかのものを聖職者から聞いたのではないかと質問した。

彼らの話しの音声だけに留意し、事柄に留意しない、「また、これが何か?」と答えた。

[6] これら〔の返事〕から驚かされて、私は彼らに言った、「顔とまなざしを森の真ん中へ、その中にあなたがたがいたそこの洞穴へ向けよ」。

また彼らは向けた、そしてそのまわりにらせん形の中に屈曲した、そして毒を吹き込んだその大きなヘビを、そしてまたその上方の枝の中に死をもたらす鳥を見た。

また私は質問した、「何をあなたがたは見ているか?」

しかし、怖くなって、何も答えなかった。

私は言った、「あなたがたは恐ろしいものを見なかったか? これは姦淫の情欲の中の邪悪な行為を表象するものであること〔あなたがたは〕知りなさい」。

突然、その時、ある天使がそばに立った。聖職者であった、また西の方位のその中に最後にこのような者が集められる地獄を開いた。また言った、「それを眺めよ」。彼らは火のような湖を見た。またそこに世であった友人を認めた、その者は彼らを自分のもとに招いた。

これらを見て、また聞いて、自分の向きを変え、私の視野から飛び出て、森から去った。しかし、私は彼らの歩き振りを観察した。彼らは去ることを装った、しかし回り道を通って森の中に戻った。

 

☆1 サテュロス〖ギリシア神話〗は酒神バッコスに従う半人半獣の怪物で、酒と女が大好きな山野の精。

☆2 キルケー〖ギリシア神話〗ホメ―ロスのオデュッセイアに出る、魔術で男をブタに変えたという魔女。

☆3 ヘカテー〖ギリシア神話〗あらゆる精霊と呪法の女神であり、天上、地上、地下の冥界をつかさどる。

原典講読『結婚愛』522

1)原文

522. Post haec reversus sum domum, et post diem ex recordatione tristium illorum, spectavi ad eandem sylvam, et vidi illam disparatam, et loco ejus campum arenosum, et in medio ejus stagnum, in quo erant aliqui serpentes rubri. Sed post septimanas, dum iterum illuc spectavi, vidi a latere ejus dextro arvum, et super eo aliquot colonos; ac iterum post septimanas vidi ex arvo illo enascens novale circumcinctum arbustis.

Et audivi tunc vocem e caelo, “Intra in cubiculum tuum, et claude januam, et intende operi incepto in Apocalypsi; et hoc intra{1} biennium persequere ad finem.”

 

@1. “infra:”―sic editio princeps. Videatur autem opusculum De Ultimo Judicio, n. 42, ubi legimus “intra.”

 

(2)直訳

522. Post haec reversus sum domum, et post diem ex recordatione tristium illorum, spectavi ad eandem sylvam, et vidi illam disparatam, et loco ejus campum arenosum, et in medio ejus stagnum, in quo erant aliqui serpentes rubri. 522.この後、私は家へ戻った、また一日後、それらの惨めな思い出すこと(想起)から、私は同じ森に向かって眺めた、またその消滅を見た、またその代わりに砂だらけの平地を、またその真ん中に湖を、その中にある種の赤いヘビ(たち)がいた。

Sed post septimanas, dum iterum illuc spectavi, vidi a latere ejus dextro arvum, et super eo aliquot colonos; しかし、数週間後、再びそれを私が見た時、私はその右側に耕地を見た、またその上に数人の農夫を。

ac iterum post septimanas vidi ex arvo illo enascens novale circumcinctum arbustis. そして再び数週間後、私はその耕地から灌木(やぶ)に囲まれた新開地の生え出るものを見た。

Et audivi tunc vocem e caelo, “Intra in cubiculum tuum, et claude januam, et intende operi incepto in Apocalypsi; また、その時、私は天界から声を聞いた、「あなたの寝室の中に入れ、また扉を閉ざせ、また著作(作品)に傾注せよ、「黙示録」について(in)始められた。

et hoc intra{1} biennium persequere ad finem.” またこれを二年間の内に終わりまで追跡せよ。

@1. “infra:”―sic editio princeps. Videatur autem opusculum De Ultimo Judicio, n. 42, ubi legimus “intra.” 注1 「infra」このように初版に。けれども『最後の審判について』の著作42番☆に、そこに私たちは「intra」と読む。☆ ここに『最後の審判』について言及がありますが、そしてそのような文書がありますが、ここの内容と関係ありません(『啓示された黙示録』は2年前に出版されています)。

 

(3)訳文

522.この後、私は家へ戻った、また一日後、それらの惨めな思い出すことから、私は同じ森に向かって眺め、またその消滅を、その代わりに砂だらけの平地を、その真ん中に湖を、その中にある種の赤いヘビたちがいたのを見た。

しかし、数週間後、再びそれを私が見た時、私はその右側に耕地を、その上に数人の農夫を見た。そして再び数週間後、私はその耕地から灌木に囲まれた新開地の生え出るものを見た。

また、その時、私は天界から声を聞いた、「あなたの寝室の中に入り、扉を閉ざせ、また「黙示録」について始められた著作☆に傾注せよ。これを二年間の内に終わりまで追跡せよ」。

 

☆『啓示された黙示録』は1766年の4月、『結婚愛』は1768年の10月に出版された。