(2) 直訳
[2.] Primo: [2.] 第一に:
Quid et unde dignitates et divitiae. 「地位と富とは何か、またどこからであるか」
Dignitates et divitiae fuerunt prorsus aliae antiquissimis temporibus, quam factae sunt postea successive. 地位と富は最古代の時代に、まったく別ものであった、その後に継続に〔あるものに〕なったよりも。
Dignitates antiquissimis temporibus non aliae fuerunt, quam quales sunt inter parentes et liberos; 最古代の時代に、地位は、別ものでなかった、両親と子供の間にあるようなものよりも(以外に)。
quae dignitates fuerunt dignitates amoris, plenae respectu et veneratione, non propter nativitatem ex illis, sed propter instructionem et sapientiam ex illis, quae est altera nativitas, in se spiritualis, quia erat spiritus illorum. その地位(尊厳☆)は愛の地位であった、尊敬と崇敬(敬意)に満ちた、それら〔両親〕からの出生のためでなく、しかし、それらからの教えと知恵のために、それは第二の(他の)出生である、本質的に霊的な、彼らの霊〔の誕生〕であったから。
☆ どうもここあたりでは地位の訳語よりも、「尊厳、威厳」がよいようです。もっと正確に言えば「威厳を伴った地位」が正しいようです。
Haec sola dignitas fuit antiquissimis temporibus, quia tunc habitarunt gentes, familiae, et domus seorsim, et non sub imperiis sicut hodie. これは唯一の地位であった、最古代の時代に、その時、彼らは氏族、家族、また家に住んだ、離れて、また今日のような帝国(統治)の下でなく。
Paterfamilias erat, apud quem illa dignitas erat. 家長がいた、その者のもとにその地位があった。
Haec tempora a veteribus dicta fuerunt saecula aurea. この時代は古代人☆により黄金時代と呼ばれた。
☆ 著作では「古代人」は通常、「古代ギリシア人とローマ人」を指します。
[3.] At post illa tempora successive invasit amor dominandi ex solo jucundo amoris illius; [3.] しかし、その時代の後、継続的に支配する愛が入り込んだ、それらの愛の快さだけから。
et quia tunc simul invasit inimicitia et hostilitas contra illos, qui non se submittere volebant, ex necessitate congregaverunt se gentes, familiae et domus in coetus, et sibi praefecerunt, quem principio vocabant judicem, et postea principem, et demum regem et imperatorem: またその時、同時に(一緒に)、彼らに対する反目(敵意)と敵意が入り込んだので、その者たちは自分に服従することを欲しなかった、必要から、氏族、家族と家を集団の中にそれ自体を集めた、またそれ自体に置いた、それを最初は士師(裁判官)と呼んだ、またその後、長(君)と、また最後に、王と皇帝。
et quoque tunc coeperunt se munire per turres, aggeres, et muros. そしてまた、その時、自分自身を塔(やぐら)、塁壁(土塁)、また城壁(防壁)によって防備を固めはじめた。
Ex judice, principe, rege ac imperatore, ut a capite in corpus, invasit sicut contagium libido dominandi in plures, inde gradus dignitatum orti sunt, et quoque honores secundum illas; 士師(裁判官)、長(君)、王、そして皇帝から、頭から身体の中へのように、接触感染(病)のように多くの者の中へ支配する欲望(支配欲)が入り込んだ、ここから地位の段階が生じた、そしてまたそれにしたがって名誉の〔段階〕。
et cum illis amor sui, et fastus propriae prudentiae. またそれらとともに自己愛、またプロプリウムの思慮の高慢が〔生じた〕。
[4.] Simile factum est cum amore divitiarum. [4.] 同様に起こった、富の愛に。
Antiquissimis temporibus, quando gentes et familiae inter se distincte habitabant, non fuit alius amor divitiarum quam quod possiderent necessaria vitae, quae sibi comparaverunt per greges et armenta, perque agros, campos et hortos, ex quibus illis erat victus. 最古代の時代に、氏族と家族が自分たちの間で分かれて(別々に)住んだ時、他の富への愛はなかった、生活の必需品を所有すること以外の、それら〔必需品〕は、彼ら自身に〔羊の〕群れと〔牛の〕群れによって得られた、耕地(畑)、野原(平地)と庭園によっても、それらから彼らに食物があった。
Inter necessaria vitae illorum, erant etiam domus decorae, omnis generis utensilibus ornatae, et quoque vestes: 彼らの生活必需品の間に、飾った家もまたあった、すべての種類の役立つもの(家庭用品、家具)で(美しく)飾られた、さらにまた衣服が。
in studio et opera omnium illorum, fuerunt parentes, liberi, famuli, ancillae, qui in domo. 彼らのすべての関心(熱中)と働きの中に、両親、子供、使用人、女召使いがいた、彼らは家の中に。
[5.] At postquam amor dominandi invasit, et hanc rempublicam destruxit, etiam amor possidendi opes ultra necessitates invasit, et crevit in fastigium, ut possidere omnium aliorum opes vellet. [5.] しかし、支配する愛が入り込んだ後、またこの国家を破壊した、必需品以上に富(財産)を所有しようとする愛もまた入り込んだ、また頂点に〔まで〕増大した、他の者のすべての富(財産)を所有することを欲するような。
Sunt illi bini amores sicut consanguinei; これらの二つの愛は血族(肉親)のようである。
qui enim vult dominari super omnia, vult etiam possidere omnia, nam sic omnes fiunt servi, et illi soli domini. というのは、すべての者の上に支配することを欲する者は、すべてのものを所有することもまた欲するから、なぜなら、このようにすべての者は奴隷になるから、また彼らだけが主人〔である〕。
Hoc patet manifeste ex illis in gente pontificia, qui dominatum suum exaltaverunt usque in caelum ad thronum Domini, super quo se posuerunt; このことはローマカトリック教会の氏族(国民)の中の彼らからはっきりと明らかである、その者は自分の支配権を天界の中へ、主の王座にまで高めた(持ち上げた)、その上に自分たちを置いた(座らせた)。
quod etiam conquirant totius terrae opes, ac thesauros amplificent absque fine. さらにまた、全地の富を集めた(捜し求めた)、そして宝庫に終わりなしに大きくした(増した)。
[6.] Secundo: [6.] 第二に:
Qualis amor dignitatum et divitiarum propter illas est; 「それら〔地位と富〕のための地位と富の愛がどんなものか」。
et qualis amor dignitatum et divitiarum propter usus est. 「また役立ちのための地位と富の愛がどんなものか」。
Amor dignitatum et honorum propter dignitates et honores, est amor sui, proprie amor dominandi ex amore sui, ac amor divitiarum et opum propter divitias et opes, est amor mundi, proprie amor possidendi aliorum bona quacunque arte. 地位と名誉のための地位と名誉への愛は、自己愛である、正しく(正確に)、自己愛からの支配する愛、そして、富(裕福)と富(財産)のための富と財産への〔愛は〕、世俗愛である、正しく(正確に)、他の者の財産を所有しようとする愛〔である〕、どんな策略ででも。
Amor autem dignitatum et divitiarum propter usus, est amor usuum, qui idem est cum amore proximi; けれども、役立ちのための地位と富への愛は、役立ちへの愛である、それは隣人への愛と同じものである。
nam id propter quod homo agit, est finis a quo, et est primum seu primarium, et reliqua sunt media et sunt secundaria. なぜなら、それのために人間が活動するものは、それからの目的であるから、また最初のものまたは主要なものである、また残りのものが手段である、また従属的な(第二位の)ものである。
[7.] Quod ad amorem dignitatum et honorum propter illas, qui idem est cum amore sui, proprie cum amore dominandi ex amore sui, est amor proprii; [7.] 地位と名誉の愛に関して(ついて)、それらのための、それは自己愛と同じものである、正しく(正確に)自己愛からの支配する愛に、プロプリウムの愛である。
et proprium hominis est omne malum: また、人間のプロプリウムはすべての悪である。
inde est, quod dicatur quod homo nascatur in omne malum, et quod hereditarium ejus non sit nisi quam malum. ここからである、言われること、人間はすべての悪の中に生まれていること、また彼の遺伝は悪以外でないなら〔何ものでも〕ないこと。
Hereditarium hominis est proprium ejus, in quo est, et in quod venit per amorem sui, et praecipue per amorem dominandi ex amore sui; 人間の遺伝は彼のプロプリウムである、その中にいる、また、その中に自己愛を通してやって来る、また特に、自己愛からの支配する愛によって。
nam homo, qui in illo amore est, non spectat nisi semet, et sic in proprium suum immergit suas cogitationes et affectiones. なぜなら、人間は、その愛の中にいる者、自分自身でないなら目を向けない(見ない)、またこのように自分のプロプリウムの中に自分の思考と情愛を浸す(沈める)から。
Inde est, quod amori sui insit amor malefaciendi. ここからである、自己愛は悪を行なう愛を内在すること。
Causa est, quia non amat proximum, sed se solum; 理由である、隣人を愛さないからである、しかし、自分自身だけを。
et qui se solum amat, non videt alios quam extra se, vel sicut viles, vel sicut nihili, quos contemnit prae se, quibus inferre malum nihili pendit. また、自分自身だけを愛する者は、自分の外に以外に他の者を見ない、あるいは卑しい者のように、あるいは何者でもない(無価値な者)のように、彼らを自分自身と比べて軽蔑する、彼らに悪を加えること(引き起こすこと)を何も判断しない〔=何とも思わない〕。
(3) 訳文
215. [2.] 第一に:「地位と富とは何か、またどこからであるか」
地位と富は最古代の時代に、その後に継続してなったものとは、まったく別ものであった。最古代の時代に、地位は、両親と子供の間にあるようなものと別ものではなかった。その地位は、両親からの出生のためでなく、しかし、それらからの教えと知恵のために尊敬と崇敬に満ちた愛の地位であった。その出生は彼らの霊の誕生であったので、本質的に霊的な、第二の出生であった。最古代の時代に、これは唯一の地位であり、その時、彼らは今日のような統治の下でなく、離れて、氏族、家族、家に住んだ。家長がいて、その者のもとにその地位があった。この時代は古代人により黄金時代と呼ばれた。
[3.] しかし、その時代の後、支配する愛の快さだけからのそれらの愛が継続的に入り込んだ。またその時、一緒に、自分に服従することを欲しなかった者たちに対する反目と敵意が入り込んだので、必要から、氏族、家族と家は集団に集まり、また自分たちに、最初は士師と呼び、またその後、君主と、また最後に、王と皇帝と呼ぶ者を置いた。そしてまた、その時、やぐら、土塁、また城壁によって自分自身の防備を固めはじめた。
士師、君主、王、そして皇帝から、頭から身体の中へのように、感染病のように多くの者の中へ支配欲が入り込み、ここから地位の段階が、そしてまたそれにしたがって名誉の段階が生じた。またそれらとともに自己愛、またプロプリウムの思慮の高慢が生じた。
[4.] 富の愛にも同様のことが起こった。最古代の時代に、氏族と家族が自分たちの間で分かれて住んだ時、生活の必需品を所有すること以外の富への愛に他の愛はなかった。それら〔必需品〕は、彼ら自身に、〔羊の〕群れと〔牛の〕群れによって、耕地、野原と庭園によっても得られ、それらから彼らに食物があった。彼らの生活必需品には、飾った家もあり、すべての種類の家具で飾られ、さらにまた衣服があった。彼らのすべての関心と働きは、家の中の、両親、子供、使用人、女使用人にあった。
[5.] しかし、支配する愛が入り込み、またこの国を破壊した後、必需品以上に財産を所有しようとする愛もまた入り込み、また、他の者のすべての財産を所有しようと欲するような頂点にまで増大した。
これらの二つの愛は血族のようである。というのは、すべての者を支配することを欲する者は、すべてのものを所有することもまた欲するから、なぜなら、このようにすべての者は奴隷になり、また彼らだけが主人となるから。このことはローマカトリック教会の国民〔の聖職者たち〕からはっきりと明らかである。その者らは自分の支配権を天界の中へ、主の王座にまで高め、その上に座った。さらにまた、全地の富を集め、そして宝庫に際限もなく増した。
[6.] 第二に:「地位と富のためのそれらの愛がどんなものか、また役立ちのための地位と富の愛がどんなものか」
地位と名誉のための地位と名誉への愛は自己愛、正確には、自己愛からの支配する愛であり、そして、富と財産のための富と財産への愛は世俗愛、正確には、どんな策略ででも他の者の財産を所有しようとする愛である。けれども、役立ちのための地位と富への愛は、役立ちへの愛であり、それは隣人への愛と同じものである。なぜなら、人間が何かのために活動するものは、それからの目的であるから、また最初のものまたは主要なものであり、また残りのものが手段であり、従属的なものであるから。
[7.] 地位と名誉のためのそれらの愛について、それは自己愛と同じものであり、正確には、自己愛からの支配する愛、プロプリウムの愛である。また、人間のプロプリウムはすべての悪である。ここから、人間はすべての悪の中に生まれ、彼の遺伝は悪以外の何ものでもない、と言われる。
人間の遺伝は、彼のプロプリウムであり、その中にいて、また、その中に自己愛を通して、また特に、自己愛からの支配する愛を通してやって来る。なぜなら、その愛の中にいる人間は、自分自身でないなら目を向けず、またこのように自分のプロプリウムの中に自分の思考と情愛を浸すから。ここから、自己愛は悪を行なう愛を内在する。その理由は、隣人を愛さないで、自分自身だけを愛するからである。また、自分自身だけを愛する者は、自分以外に他の者を、卑しい者のように、あるいは無価値な者のようにしか見ないで、彼らを自分自身と比べて軽蔑し、彼らに悪を加えることを何とも思わない。