原典講読『神の愛と知恵』 はじめに

 SAPIENTIA ANGELICA DE DIVINO AMORE ET DE DIVINA SAPIENTIAと題された本書は1763年(著者73歳)にアムステルダムで出版されたものです。スヴェーデンボリは本書のの中で次のように述べています。
nam finis hujus opusculi est, ut detegantur causae, et ex illis videantur effectus, et sic discutiantur tenebrae, in quibus homo ecclesiae est de Deo, deque Domino, et in genere de Divinis quae spiritualia vocantur.(なぜなら、この小著の目的は、原因が明らかにされ、それ〔原因〕から結果が見られ、こうして暗やみが追い散らされることである。教会の人間は、神について、また主について、全般的に霊的なものと呼ばれる神的なものについてその〔暗やみ〕中にいる。)
 目の前に見える世界、自然界は「結果の世界」です。結果だけから原理を知ろうとするのが科学でしょう。これには必ずや限界があると思います。「原因の世界」を知らなければ、ほんとうのことわからないでしょう。それが霊界です。「原因から結果を見る」、すなわち、霊界からの流入として、また霊界との対応として自然界を見れば、特に「霊的なもの」についての暗やみが消え去るでしょう。
 さて、原典講読の形式についてこれまでと同じですが、復習しておきます。すなわち、
 (1) 「原文」の提示。わかってもわからなくても目を通す(それも複数回)と勉強になります。
 (2) 「直訳」、これはなるべく短く区切って、なるべく語順どおりに、直訳」する。そのさい( )で別訳語を示し、随時☆印をつけて、単語や文法事項の説明、および他訳の批評をします。ここをよく読むことが「講読」という勉強の形となっていると思います。このまま内容を把握しづらいと思うので、(3) 「訳文」の提示、これはやや意訳しています。
 そして、折に触れて「感想」など思いついたとき、(4) として雑感を述べます。
 なるべく「柳瀬訳」と「アルカナ訳」それと「聖書」を用意し、読み比べるとよいでしょう。私の翻訳に対する姿勢、また主張も、比較することで、正当な評価ができるでしょう。
 もう一つ本書の題名について述べておきます。SAPIENTIA ANGELICA DE DIVINO AMORE ET DE DIVINA SAPIENTIAは『神的な愛と神的な知恵についての天使の知恵』です。
 「神の」と「神的な」は、厳密には違います。「神の」より一般的な表現であり「~の」は所有・所属の概念が濃いです。すなわち「神のものである~」というニュアンスです。「神的な」は「的」に「性質を帯びている」概念が付属します。すなわち「神の性質を帯びた~」です。
 それで、よりふさわしい題名は『神的な愛と神的な知恵について』ですが、やや漠然と包括的ではありますが、本の区別が付けばよいので、こだわらずに『神の愛と知恵』とします。

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