『天界と地獄』はスヴェーデンボリが1749年~56年にほぼ毎年1巻、計8巻の『天界の秘義』をロンドンで発刊した後、その創世記の前半の解説の前後で語った事柄のうち、霊界に関することをまとめ、書き改めて、1758年、70歳のとき、同じくロンドンで発行したものです。同じときに「ロンドン五部作」とした発刊した『宇宙間の諸地球』『新しいエルサレムとその天界の教え』『白い馬』もやはり『天界の秘義』にあるものを書き改めたものです(もうひとつは『最後の審判』、これはスヴェーデンボリが前年に経験した事柄です。すなわち、「最後の審判」霊界で1757年に起こりました)。
これまで和訳書も多く出されてきましたが、それ以上に英訳書も多く(1778年に最初の英訳書が現われ、これまで最低でも20種あるといわれている)、また、各国語にも訳されていて、その翻訳書がどれほどの数になるかわかりません(その一つに私の訳がこれから仲間入りしようとしています)。
内容については有名なので言うまでもないでしょう。本書の表題の副題に「ex auditus et visis」とあるように、霊界で「聞き、見たことから」の著作です。霊界の実相を、本書以上に詳しく、整然と述べたものは、これまでになく、今後もないでしょう。キリスト教界だけでなく、全宗教界、全世界から注目を集めた本であり、本書がその後、全世界へ及ぼした影響は計り知れません。
さて、この講座では、(1)原文、(2)直訳、(3)訳文、と原典講読『信仰について』と同じ構成とします。関連して何か特別に語りたくなったとき(私は根からの雑談好きです)項目(4)を置きます。もちろんこの講座の特徴は、「(2)直訳」の部分です。ここがあるから「講座」といえるでしょう。
「『天界の秘義』から」の部分について述べておきます。
ラテン原典からの本邦初訳の長島訳では省略されています(長島氏は『天界の秘義』訳了後に完全版をつくる計画であった)。本講座ではもちろん取り上げます。そしてその(2)直訳部分では『天界の秘義』からの参照番号を省略し、また文章も簡単なものが多いので、(3)訳文も省略します。そして文頭のQuod「~こと」の訳出もしません。省略しても意味に変わりはなく、すっきりするからです。
「『天界の秘義』から」の参照番号については、なぜこのように大量に付けられているのは疑問に思います。読者の便を思えば、代表的な個所だけをよいではないかと思ってしまいます。それとも、読者にじっくり『天界の秘義』を読み直すひと時を持ってもらいたかったのでしょうか。
スヴェーデンボリは『天界の秘義』の「索引」をすでに個人用に作成していました(「索引」については『霊界体験記』でも作成しています)。それで、改めて、『天界の秘義』の著作を見直さないでも、この「『天界の秘義』から」の個所は、すぐさま執筆できたと想像しています。