in sensu interno sunt illa quae sunt vitae post mortem et quae aeterna, at in sensu litterae illa quae sunt vitae in mundo et quae temporatia;(AC1854:1)
この文章のまだ習っていない(意味を確認していない)単語はなんでしょうか? 探すのがむずかしいくらい、易しく、既知の言葉ばかりです。それでも――
前置詞「post」:~後ろに、以後に。日本語でも「ポスト福田」などという言い方をしますね。
名詞「mors」:死。「post mortem」で「死後」。
接続詞「at」:しかし。
形容詞「temporarius」:特定の時期の、一時の。またもミスタイプしました。英語で(temporalまたは)temporary。
どれも、辞書を引かなくてもいろいろな知識から見当のつく単語ですね。
ではすぐ訳せるか? どうでしたか? いやな問題がありますね。illa quae illa quae quae 代名詞・関係代名詞がずらずらとこれだけ並んでいるので、それらが何をさすのか確認しなければなりません。そして、翻訳では「それ、あれ」などいっぱい出てくるんでは、なんだかぼやけてしまうので、適当にそれがさす名詞に置き換えて訳すようしになければなりません。
ここで少しばかり雑談。本来の日本語には(人称)代名詞などほとんどなくて、彼だの彼女だのは、明示翻訳期の造語である。「かれ」は昔からあったが「あの人」の意味で、三人称ではなかった。heだのsheだのIやyouといった「人称」をはっきりさせないのが日本語だった。文脈から「だれか」わかるようになっていた。ものを指し示すとき代名詞を使わないほうが多い。
逆に、名詞の重複を避けて代名詞が発達しているのが西洋語全般。そして指し示す対象がはっきりしているので、代名詞を多用しても、文意をよく汲み取れた。
それで、西洋の文をそのまま直訳したら、代名詞だらけでよくわからない文(翻訳調そのもの)になるので、代名詞の「代」を適当に取り外して、「名詞」を混ぜるようにして、日本語らしい文にする。
なんとなくわかるけど、正確に意味を汲みづらいのが、このような文ですね。やってみます。
内意には(in sensu interno)それらがある(sunt illa)〔illaの中身は、出題者はこれ以前の文を示していないから、後ろに出てくるのかな?〕、それらは(quae)死後のいのちとそれらは永遠(vitae post mortem quae aeterna)である(sunt)。〔しかし、これでは意味が通じない、先を読んでみよう〕しかし文字の意味の中には(at in sensu litterae)それらは(quae)世の中のいのちとそれらは一時のもの(viae in mundo et temporaria)である(sunt)〔やはり変だ〕。
ここでもうひとつ、読解する上で決定的なのがvitaの格です。vitaeは属格です。ここをはっきり捉えないと、上記のように何かが変、となります。
ここで問題を出します(良問だと思う)。スヴェーデンボリの標語とも言える「新しいエルサレムの教え」の『生活について』の冒頭の次の言葉をどう訳しますか?
「Quod omnis religio sit vitae, et quod vita ejus sit facere bonum.」
鈴木大拙訳「宗教はすべて人生と交渉す、而して宗教の生涯は善をなすにあり」
長島達也訳「宗教はすべて〈いのち〉にかかわっている。そして宗教の〈いのち〉は善をなすことである」
一部を直訳すれば「宗教は生活「の」もの」となります。属格は「帰属・属性」を表わします。それで、宗教は「生活に属するもの」です。
さらに脱線しよう、「人民の、人民による、人民のための政治(国)」という標語がある。それぞれof the people、by the people、for the peopleであろう。このofが英語で所有格、ラテン語で属格と思うとわかりやすい。人民「の」政治、とは何であろうか? 人民に帰属する・人民のものである政治である。
私が訳すなら「すべての宗教は生活に属する。その生活は善をなすことである」
(補足すれば、訳語「人生・いのち」はここではあたらない。「生活」がよいと思う。宗教は実生活と離れた存在ではなく、生活に帰属するもの、生活の一部分であるわけです)
話をもどして、「内意の中にあるものは、死後の生活に属するもの」だったんですね。または表現を「内意の中には、死後の生活に属するものがある」と変えてよいでしょう。
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長くなったので、「きちっとした訳」を「宿題」としましょう。これ以降の文には「sunt」が省略されていると見なします。
これだけでは少ないのでもう一つ。出典は『聖書について(De Scriptura Sacra)』の第三章見出し。こんどはミスタイプなしにします。
Quod Sensus Litterae Verbi sit Basis, Continens et Firmamentum Sensus Spiritualis et Caelestis ejus.(SSⅢ)