宿題にとりかかります。
すぐに単語を引こうとしないで、まずはゆっくり何度か音読して(この間に思考が働いています)、その後「頭などこかな、しっぽはどこかな?」と見ながら、文を繰り返し見ます(「急いては事を仕損ずる」)。
quod Divinum ex amore erga genus humanam revelaverit talia quae ducunt ad illam vitam ac conducent saluti ejus. Quod Divinum revelavit est apud nos Verbum.
二つの文から成り立っています。一番目は Divinum が頭(主語)らしい(このようなとき「格」についての知識が役立つ。主格の名詞を探せばよいから)。-um の語尾は(第二変化の)中性名詞の主格か対格、対格の可能性もあるが、後ろを見ていくと主格らしいがものが genusぐらいしかない。やはり Divinum は主格だ(もう十分おわかりと思うが、大文字だからではありませんよ)。
次、動詞らしいものを探します。あるある、-rit -unt -ent (二番目の文は evelavit と est )、とどれも動詞の活用語尾ですね。quae があるから docunt と conducent が従属節の動詞で、メインは revelaverit だな。と、ここまでわかれば、下調べ(予習)としてはO.K.
では単語。
前置詞「erga」:対格支配「~に向けて、~に向かって」。
名詞「genus」:「種類」、genus humanum で「人類」。
形容詞「talius」:「このような(性質の)~」、この talius の中身が続く quod 以下(内容が複数の実詞とされ、それぞれ talia quae と複数・対格に変化している)。
動詞「doceo」:「教える」。英語 doctor はここから(ラテン語で -or は「~する者」)。
前置詞「ad」:対格支配、いろいろな意味があります。このようなときは文脈から適切な意味を決定しなければなりません。「教える」のであり、教える中身が「いのち・生活」、ここから illam は 女性・単数・対格とわかります(vita は女性名詞 -a の形は女性名詞)。
ここから ad はたいてい「~へ、~の方へ」とすれば間に合うので、「その生活の方へ(向けて)教える」とすると、意味は汲めるが、やや直訳過ぎる、も少し適当な訳語がないかと探すと「~について」がある。これだね。
接続詞「ac」:「そして」、et が名詞結びつけることが多いのに比べて、これは文を結び付けることが多いように見える。
動詞「conduco」:「導く、もたらす」。
名詞「salus」:「安全、健康、福祉、(特に魂の)救い」。動詞は salvo で英語 salvation の語源。
ここまでが最初の文、続いて
人称代名詞「nos」:「私たち」対格も同形。
これで全部訳せます。訳してください。
「神的なものは人類へ向けての愛から、そのいのちについて教え、その救いをもたらすようなことを啓示された。神的なものを啓示したものは、私たちのもとのみことばである」
(後半の文は「神的なもの」が啓示された「もの(quod)」であるが、やや、滑らかな日本語となるよう、神的なもの「を」と文かえた。意味は同じこと)
これで終わりにしてよいのですが、あなたが賢明な、もしくは注意深い読者なら、何か説明が抜けている気がしませんか? そうです「revelaverit」と「revelavit」の違いです。
そして、訳文からではわからないこうした違いを知ることをできるのが「原典を読むことのありがたみ」なのです! 私に、初心者も念頭にあったので細かい文法事項は省こうと思いましたが、ここ素通りしては「何のための原典の学びか」、その精神がないがしろになってしまうので、やりましょう。そのかわり、長くなるので、この原典についての感想を「宿題」とします。
文法的に「revelavit」は直説法「完了」(の三人称単数)、「revelaverit」は同じく直説法「未来完了」です。完了については説明不要ですね。
「未来完了(形)」なんて、未来なのに完了では変ですね、矛盾しているようにも感じます。その基本的な意味は「未来のある時までに完了している」ことです。「明日までにこの宿題を終える」。この「終える」がそうですね。なので「命令」のニュアンスをおびることもあります、「終えてしまいなさい」。
私の持っている文法書にはこれ以上の説明はありませんが、「完了」とすることに、「終えたい」「当然終わっているはずだ」などの意味があると思います。
私はこの「未来完了」から、啓示が、単なる過去の出来事(完了)でなく、今後も(未来)、「~ということがあるはずだ」、「~が必ず起こる」、という意味合いを感じる。神の側からすれば「これからも啓示を必ず与えよう」となる。
こうしたことはとうてい訳しきれない。これを直に味わえるのが原典。それで「原典を読もう」。
では宿題、ここでの「感想」と次の文(長いけれど、文の構造は簡単でしょう)。
quod necessum fuerit ut aliqua revelatio, ex Divina Domini Providentia, exstiterit, nam revelatio seu Verbum est commune vas recipiens spiritualium et caelestium, ita conjungens caelum et terram, alioquin disjuncta fuissent, et periisset humanum genus;(AC1175)