イタリア旅行(ミラノ編・誤訳について)

 スヴェーデンボリは若い頃、イタリアを旅している(サイト:「あおい出版」の『スヴェーデンボリ叙事詩』第18章参照)。これもイタリア行きの理由の一つだった。著作以外に私たちがスヴェーデンボリとの接点を持とうとすればストックホルムやロンドンに行くことだろう。どちらもいずれ訪れてみたい。イタリア旅行中、「これをスヴェーデンボリも見たんだな」と思いながら、眺めると、単なる観光とは一味違う。
 さて、最初はミラノ。スフォルツェスコ城もすばらしかったが、なんといっても「ドゥオモ(大聖堂)」。人によっては眺めるうち身震いがするという。私も圧倒された。中に入ってもステンドグラスが壮麗極まりない。堂内を歩いていくうちに(人だかりがしている)「聖バルトロメオの像」の前に来た。殉教の際に生きたまま皮を剥がされ、その剥いだ皮膚を肩越しに、身に巻きつけている像である。これを見て自分の「誤訳」に気づいた。98年の5月ごろ、『叙事詩』の該当部分を訳していた。そこには「the statue of St. Bartholomew carrying his skin over his arm」とあった。因幡の白兎じゃあるまいし、まさか、自分の皮膚を担いでいるとは想像だにできなかったので「腕の皮膚がめくり上げられた聖バルトロマイの像」と訳してしまった。実物を知っていればなんでもないことであるが、自分の知らないことを翻訳する時にはえてして起こりうることである。日本に帰ってきて、すでにネット上に掲載されていた『叙事詩』第18章を、他にもわかったこと(ローマのある教会について誤解していた、後述)も含め、誤訳個所をすぐさま修正した。やはり「何事も、実際に見て、知っていることは大きい」。
 これだと、あまりにもまじめな旅行に思えてしまう。結構私は俗人である。ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世のガッレリア(名前が長すぎる、ディズニーランドのワールドバザールの本家本元と思ってください)の中心部の交差点に「マクドナルド」がある。真向かいは「プラダ本店」である。マクドナルドの店舗のうちでは最高級の立地条件ではなかろうか。ガッレリアの各店は黒の色調(上品でした)で統一されている。それでマクドナルドも「赤と黄」でなく「黒」である。黒くてシックなマクドナルド店など想像できますか? トイレを借りるつもりで入ったが、うまそうなのでアイスクリーム風のケーキとコーヒー(エスプレッソ)を注文した。窓越しに見える「プラダ本店」を眺めながら、(マクドナルドのうちでは)おそらく世界一の味を楽しんだ。貧乏旅行なので、プラダには入いらずじまい。

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